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音を遮断する難しさ。アナウンスブースに求められる性能とは

アナウンス収録やアフレコなどの録音を行うにはとにかく雑音が入らない事が重要です。

雑音と言ってもその原因は様々あります。
「サー」というヒスノイズ、「ジー」とか「ブー」とかいうハムノイズ・・・
ですがその中でも「暗騒音」の排除する事がもっとも厄介です。
暗騒音とは何も音を出していない状態で聞こえてくる音の事を言います。
何も音を出していない状態といっても音は必ず存在します。
遠くを走る車の走行音、冷蔵庫のコンプレッサーが出す僅かなうなり、隣の部屋でなっている電話の呼び鈴・・・

そんな暗騒音の中でも排除する事が最も困難なのが空調音です。
空調音とはエアコンや換気扇が出す動作音や風切り音の事を言います。
録音スタジオには多くの機材が置かれているのでエアコン(冷房)は必ず掛けます。
また外部からの騒音が入らないようにするため、室内は大変気密性が高く
その中で人が活動するには外部から空気を取り入れる必要があります。

この暗騒音をなくす事とはまったく正反対となるエアコンと換気扇ですが
この矛盾を解決する唯一の方法が「消音チャンバー」の設置です。
消音チャンバーは空調が出す動作音や風切り音などの「音」のみを吸収し空気だけを通す装置となります。
仕組みは至ってシンプルです。
空調から入ってきた空気を一旦大きな箱の中に入れます。
箱の中には大量の吸音材が入っていてそこで音を吸音させます。
そしてその箱を通した空気を室内に出します。

下の写真は実際にスタジオネイバーズに設置した消音チャンバーです。
消音チャンバー

当然ですが消音チャンバーは吸気側と排気側の両方に必要となります。
スタジオネイバーズにも2つ設置してありますがこの2つのチャンバーはそれぞれサイズを意図的に変えてあります。
サイズを変える事によってチャンバーの固有共振周波数が変わり、結果的に低周波を低減させる事が出来るからです。

消音チャンバーを設置した時の様子です。

消音チャンバー

中央の銀色のパイプは排気ダクトです。
この空調ダクトもダクト内面に吸音材が施された消音タイプのダクトを使いました。

さてこの消音チャンバーの効果ですが
実際にエアコンと換気扇を稼働させた状態で空調の吹き出し口に耳を当ててみましたが・・・

 

 

 

まったく音が聞こえません。

自分で設計したチャンバーですが予想以上の吸音性能です。
試しに騒音計で測ってみたのですがその騒音計では測る事が出来ない測定限界値以下でした。
スタジオネイバーズの暗騒音を測るにはもっと精密な測定器が必要なようです。

 

Posted on 2015-06-27 | Category : ネイバーズの日常 | | No Comments »
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